SAVIを用いた新しい乳房温存手術

SAVIとは? 
SAVI®アプリケーターは、加速乳房部分照射法に用いられる新しいタイプの医療機器です。
 
SAVIは、数本のカテーテル(細いチューブ)を束ねた形状のアプリケータで、小線源治療装置に接続し、SAVIカテーテル内に小線源(イリジウム192)を通して、放射線治療を行う。手術後の乳房内腔の大きさに合わせて、アプリケータの種類も変更します。
 
 

 
            
 
 

 
             

 
 

 
乳房の中から直接、放射線を照射できるように機械(カテーテル)を一時的に埋め込んで放射線治療を行います。これにより乳房全体ではなく切除した部分のみ(最も再発しやすい部分)に放射線を照射することができ、また、従来の治療と比較して非常に短い期間にて治療が可能です。
 
大きな違いは以下の2点です。
  1. 全乳房照射ではなく、デバイスがある一定の部位にのみへの照射である。
  2. 通常の照射より1回の照射線量が高く、1日2回の照射を行うことで、従来約5-6週間程度かかる期間を5日間に短縮できる。

 
再発率の違いは、まだ世界的にも新しい治療のため、長期の成績は報告されておりませんが、2013年にされたカリフォルニア大学サンディエゴ校放射線科のYashar先生の報告では2年の局所再発は約2.5%でした。従来の放射線治療と変わりありません

治療中の特有な合併症としては重大なものはありませんが、挿入された器具による違和感を感じる方はいらっしゃいます。
 

 
SAVIを使った加速乳房部分照射法には、全乳房照射と比較して、どのようなメリットがあるのでしょうか。
 
■メリット① 治療期間の大幅な短縮
 
全乳房照射は治療期間が長いという問題があります。毎日(週5回)の治療を5~6週間続ける必要があるため、仕事や家事に支障を来してしまうこともあります。手術をしてから病理検査の結果が出るまでの期間なども加えると、治療期間は2カ月以上になってしまいます。
 
これに対し、SAVIを使った加速乳房部分照射だと、前述したように、17日間の入院(例:昭和大学病院)で全ての治療を終えることが可能。治療期間は大幅に短縮されることになります。
 
■メリット② 合併症が起きにくい
 
全乳房照射では、なるべく乳房以外の組織に放射線が照射されないようにするため、接線照射(せっせんしょうしゃ)という方法がとられています。しかし、体外からの照射のため、どうしても皮膚、肋骨、肺などに放射線が当たり、それに伴う有害事象が現れることがあります。日焼けのような皮膚障害や、放射線治療後、しばらく経ったのちに晩期障害(ばんきしょうがい)として肋骨の骨折、放射性肺臓炎などが起こることがあります。
 
その点、体内から放射線を照射する加速乳房部分照射では、きちんと治療計画を立てて照射を行うため、必要な部位に放射線を集中させ、正常組織への照射を大幅に減らすことができます。そのため、放射線による合併症が起きにくいというメリットがあることになります。 
 
  SAVIを使った加速乳房部分照射法のメリット(全乳房照射との違い)
 
   

 
 

 
全乳房照射では、1回に1.8~2.0Gy(グレイ)の放射線を、週に5回、5~6週間にわたって照射します。これに対し、SAVIを使用した加速乳房部分照射では、1回3.4Gyの放射線を、1日に2回、連続5日間で計10回照射します。合計の放射線量は少なくなりますが、1回の放射線量が高く、それを集中的に照射することで、再発を予防する効果が期待できます。
 
アメリカで開発された治療法で、有効性が認められ、アメリカではすでに1万人以上がこの治療を受けています。現在、全乳房照射と加速乳房部分照射を比較する大規模臨床試験が進行中で、もうすぐその結果が出ることになっています。
 
小線源を使った放射線治療は、日本では前立腺がんや子宮頸がんの治療でも行われており、健康保険で受けられる治療となっています。SAVIによる加速乳房部分照射も保険適用となっています。
 

 

 
SAVIを用いた乳房温存療法は2006年にアメリカで承認され、2013年5月までに14000人以上に施行しています。我が国においては2013年6月に承認を取得し、密封小線源治療として保険診療が可能です。 
 
 
 

 
 
 

本治療の対象となる患者さんは限られているため、ご希望の方は担当医とご相談してください。

 
 

 この治療を行う場合、基本的には次のようなスケジュールで治療が進むことになります。
 
まず、乳房温存術が行われ、手術で取り除いた部分に、SAVIを入れるためのスペーサーを挿入しておく。後でSAVIに置き換えますが、スペーサーは液体を入れたバルーンなので、液体を出せば簡単に抜去することができます。
 
スペーサーを挿入するために、1㎝ほどの小さな切開を行う必要があります。ただ、アンダーバストのラインに合わせて切開するので、治療後は傷跡がほとんど目立ちません。
 
最初からSAVIを入れてしまわないのは、手術で切除した組織の病理検査の結果によっては、SAVIによる治療ができないことがあります。例えば、断端陽性(だんたんようせい:切除した切断面にがん細胞が見つかること)であった場合などです。そこで、病理検査の結果が出て、SAVIによる加速乳房部分照射が可能なことを確認してから、スペーサーを抜き取り、代わりにSAVIを入れます。
 
SAVIはカテーテルを閉じた状態にして挿入し、乳房内で広げます。そして、その状態でCT撮影を行い、得られた画像に基づいて、放射線科の医師と専門のスタッフが、患者1人ひとりに合わせた治療計画を立てます。正常組織にあまり放射線が当たらないようにしながら、必要な部位には十分な放射線が照射できるように、綿密な計画を立てることになります。
 
SAVIは放射線治療を行っている期間は広げたままにして乳房内に留置し、5日間の治療終了後、閉じてから引き抜きます。小さな切開ですが、抜去後に縫合することで傷はますます目立たなくなります。
 
他の医療機関で乳房温存術を受けたとしても、SAVIによる治療を行っている医療機関で、放射線治療を受けることもできるということになります。治療スケジュールは各施設によりそれぞれですので、SAVI治療を行っている施設にお問い合わせください。
 
例:昭和大学病院乳腺外科 治療スケジュール       
乳房温存からSAVIによる放射線治療を一連の入院で行っており、入院期間はすべて含めて17日間となっています。

昭和大学病院におけるSAVIによる乳房温存療法の流れ
 

SAVI小線源治療施行施設

国立がん研究センター中央病院 乳腺外科、放射線治療科

東京医科歯科大学医学部附属病院 乳腺外科、放射線治療科

昭和大学病院 乳腺外科、放射線科

関西医大総合医療センター 乳腺外科、放射線科

神奈川県立がんセンター 乳腺内分泌外科、放射線治療科
福山医療センター 乳腺・内分泌外科、放射線治療科
鹿児島市立病院 乳腺外科、放射線科
徳島大学病院 食道・乳腺甲状腺外科、放射線治療科
徳島赤十字病院 代謝・内分泌外科
岡山大学病院 乳腺・内分泌外科、放射線科